「サービスとは顧客に価値を提供する手段である」とは、実に残酷な言葉

私がトレーナーを務めているITILⓇの研修は、

「サービスとは顧客に価値を提供する手段である」

という言葉からスタートします。

ITサービスマネジメントのグローバルスタンダードであるITILⓇが定義した「サービス」という概念について、どのように受け止めるのか?!

私はこの時点で「サービスマネジメントに対する理解の度合い」が変わってくると考えます。
ですから、プロのトレーナーとして全てのスタートであるこの部分には時間をかけて解説します。

この言葉、私は実に「残酷」だなと受け止めているのです。

「サービスとは顧客に価値を提供する手段である」ということは、つまりは、

「顧客が価値を感じていないものは、サービスではない」

と言い換えることができるからです。

どれだけ夜遅くまで仕事をしても、
どれだけお金をかけても、
どれだけ「お客様のため」と思って仕事をしても、

顧客が「そんなことされても価値は感じねぇな」と思っているのなら、それはサービスではなく、提供者側の自己満足ということになります。

そう考えると、実に残酷な言葉ですね。
でも、この概念をビジネスに対する考え方の中心ととらえておくことで、間違った意志決定を防ぐことも可能となるのです。

全てのサービスの価値を決めるのは「お客様」です。

考えてみたら、実に当たり前のこと。
でも、「自分が提供しているサービスに自信がある」人ほど、その当たり前を見失うことがあります。

「サービスとは顧客に価値を提供する手段である」

ITILⓇが定義しているこの言葉は、ビジネスの基本中の基本に立ち返ることができる、実に素晴らしい概念だなと研修のスタート時にいつも感じています。



2017年05月01日